母は知っていた



私の母は、二十四年程前の一月に姫路市内にある、循環器病院で、
心臓の病気により亡くなりました。その当時、私は僧呂の仕事と又、
別に仕事を持つていて、その仕事場に友達の家で飼えなくなつた、
黒いプロットハウンド犬を、飼っていました。

母の体調が悪くなり、急に病院に入院したので、私は仕事場の犬に、
ドックフードと水を多量に与えて、母の病院に行ったのですが。

病院から帰って見ると、その犬は十匹も子供を産み、
親子とも死んでいました。

私は、その犬のお腹に、子供がいることも、友達から聞いて無かったので、それこそ驚いてしまった。

お腹に子供が居るのだったら、もっと温かくしてやっていたらと、
大変後悔した、でも、、、、、もう仕方が無い、、、、、
親子とも、畑の隅に穴を掘り埋葬してやりました。

あくる日私は、母の病院に行き、昨日の出来事は、
母が、きっと悲しむと思い家族に、絶対云ってはダメだと、
口止めをしていたのだが、
私が、病室に入るか、入らない内に、

「黒い犬が、子供を抱えて死んでいた。」と、

話し出したのです。

それこそ母は、二日前に脳硬塞になり、
身体も動かなく、口もはっきりと話す事も出来ない状態です。

やはり、私の母だと感心した。

私の霊的な力は母ゆずりで、母は全ての事を、しっていた。

又、母は体調を崩して、自分の身体を自分で、
自由に動かす事が、出来なくなり、私と妻は、
何でも分かる母なので、絶対に母の事は病院で、
話さない事にしていて、自宅でこれから先、母の介護の事をどうしたらいいかと、?
話しあっていた。

又、それも母は知っていた。私や妻が、自分の事で、
困っていて迷惑を掛けると思っていたらしい。

寝ていても、手を合わせて、ありがとう。ありがとうと。

ありがとう、しか云わなかった。
そうして入院して、約一ヶ月で、この世を旅立った。

やさしい母でした。       合掌