急死に一生



不動明王様に救われる。

私は23年ほど前になりますが、姫路市の北に位置する雪彦山の麓にある真言宗のお寺が、
住職不在の為一時私がそのお寺を預かっていた、その時の出来事です。

お寺の庭に不動明王様の石仏を作る計画が持ち上がったので、
私がお不動明王様の姿を下書きする事になり
石屋さんに一週間後に渡す事になっていたのだが。

急に石屋さんの都合で下書きが出来ていたら今日、・・・
今から出会って打ち合わせがしたいと電話がありました。

私は、二、三日前より風をこじらせて休んでいて、朝早くに病院に行き治療を受けて、
今、自宅に帰って来たところに電話があった。

打ち合わせ場所はお寺でしたいとの事で、
お寺は普通に行けば自宅から車で約一時間半の所にあり、
山越えの近道で行けば四十分程で行けるので近道を行くことにしました。

軽トラックに乗り込み自宅を出発してから約二十分程走った林道のカーブに差し掛かったとき、
スピ―ドは出していなかったと思うのですが?、

急に後ろのタイヤがスリップをしたので急ブレ―キを踏んで、
ハンドルを反対に切り替えした時です、・・・・・
車が道路より左に飛び出してしまった。・・・

あっ!!しまった!!と思ったがもう遅い。

左は急な崖です車は崖から真っ逆さまに落ちて行き私は落ちて行く車の中で思った。・・・・

今日で私の人生は終わったなと。・・・

でも?・・・・何かが違う?・・・ショックが無い?・・・

身体が何かふわふわした物に包まれている様に感じた。

道路から崖下まで四、五十メ―トルはありました。

崖下に落ちた私の車は、ウインドガラスも割れ運転席も潰れ、
後ろの荷台もくの字に曲がってしまい一目見れば絶対に死んでいる・・・
いや死んでいなくても大怪我をしていてもいいくらいの車の壊れ方でした。

でも私の身体は擦り傷一つ無い状態で助かりました。

 

私が修行を始めて一年たった時の事ですが、
師匠に彼方は四十七歳までの命ですと言われた、

何故ですかと尋ねると、お不動様がこの者は信仰をすれば良いが、
信仰をしなかったら四十七歳までの命だといわれたと、

そうして四十七歳がこの者の運命の分かれ道だと言われたらしいのです。

 

そんな事もすっかり忘れ、修行に明け暮れて月日も過ぎた夕方でした、
私は自宅に居てトイレに入り小便器の前に立ったその時に急に目まいがしたので、
目の前の壁に凭れたのだが、私は、気を失って後ろに倒れてしまった。・・・・・・・

{あっ!!。・・・・トンネル?・・・私はトンネルを?潜り抜けた?
トンネルを出た所は、物凄く明るい所で今までに感じた事の無い明るさです。
身体は温かい。・・・気持ちがいい風。

足元を見ると小さな花が色とりどりに咲き乱れていて、
それが、ず――と遠くの丘まで続いていました。}

その美しさは口には言い表せ無いほどの美しさです。
私は死の世界、死後の世界に行こうとしていたのです。

この時母が私の倒れているのを見つけて、
大きな声で呼び戻してくれたので私は気がつき生き返ったのです。

崖下に落ちた時、何故か花畑の事を思い出した。
身体に衝撃も無かったので私はもう死んだと思い周りを見回した、

暗い、寒い、おかしい?・・・

私はこんな暗くて寒い所に死んだとしても来るはずが無い?。
四十七歳の時は綺麗な花が咲いていて明るく温かい所だった事を思い出したのです。

それから気を取り治しガラスの割れた窓から身を乗り出して、
やっとの事で窓から這い出して私は車を見て驚いた。・・・・

それはウインドガラスもドアのガラスもガラス全てが割れてしまって、
運転室の屋根は潰れてトラックの原型が無くなる程の壊れようでした。

私の身体は?。・・・何とも無い?・・・

自分の手で身体のあらゆる処を撫でてみたが何とも無い?。

不思議です?。・・・私は死んでいなかった。怪我も無かった。

それから私はきを取り治し崖を攀じ登り上の道路までたどり着き、
道端の岩に腰を下ろして休んでいますと、
そこに工事の車が通りかかったので事情を話して自宅まで車で送って頂いた。

車で送ってもらう途中に工事の人は何回も同じ事を聞かれた。
本当にあそこから落ちられたのですかと?。・・・

私はきっとお不動様が私をお守りくださったのだとお話をした。

まだまだ私にはこの世の中に必要な人間なのだと思いお不動様に心から手を合わせ感謝をしました。

私は毎年新年を迎えるたびに、この出来事を思い出して一年を新たに頑張っています。

合掌